Living with Japanese Gods & Goddess

瑞穂の国で生きる人の日記

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猫のお使いさんはいらっしゃるのか?

神様に仕えるお使いのことを、神使(しんし)とお呼び致します。
例えば狛犬さんやお狐さん、変わりどころでは鯰さんや鰻さんもいらっしゃいますが、皆様動物の姿をされていますね。
その神使についてなのですが、ちょっと気になることがございます。
猫のお使いさんっていらっしゃるのでしょうか?

少なくとも私自身は聞いたことがなかったので、少々気になったのです。
そこで、我が家の神棚のウカ様と(伏見稲荷大社内にある某摂社の神使である)お玉さんに、それとな~く聞いたことがあります。

すると、お玉さんからは「あては聞いたことあらしまへんなぁ」と即答。
ウカ様からは「猫ですか……」としばらく考えていたご様子で、その後ゆったりと「最近はとんと見なくなりましたね」と返ってまいりました。

(ちなみにお玉さんからは、その後続けて「せやなぁ、猫は食べて寝るばかりさかい。物忘れも激しいからあてにならへん」と、大変な暴言が放たれたのですが、ウカ様から「玉……めっ( ˘•ω•˘ )」と窘められていたご様子でした)

お玉さんの発言はともかくとして、ウカ様の「最近は見なくなった」というお答えがちょっと気になりましたので、自分なりに調べてみました。

※ここでは、猫そのものを神様としている猫神様のことではなく、飽くまでも神使としての猫について言及しています。

結論から言えば、猫のお使いさんは確かにいらっしゃいました。存じ上げていなかったので、個人的にはびっくりです。

猫を神使としているのは、蚕神という神様でございました。

蚕神とは「カイコガミ」とお読みしまして、主に養蚕家の間で信仰されてきた神様のことです。
蚕である虫そのものを神様としたのではなく、蚕やその餌となる桑の葉を害獣や病虫害から守ってくださる神様のことであり、調べた限りでは、桑の枝を持った女神として表現されているようです。蚕から取れる上質な絹糸は、直接的な現金収入に繋がっておりました。自然からの恵みがそのまま生活の潤いに直結していたのですね。そのため、蚕神は自然がもたらす豊穣を象徴していると言えますので、豊穣=女神であるという側面が強いのかもしれません。

蛇足ではございますが、蚕神様と同一視されている神様も多数いらっしゃるようでした。例えば、オシラ様や保食神(ウケモチノカミ)様などがそれにあたるようですよ。保食神様とも……となると、保食神様と同一視されることのある宇迦之御魂神様も、ということになるよなぁ……と個人的には思ったり。

話しを元に戻しますが、養蚕家にとっては、害獣の中でも特に鼠の被害は頭痛の種だったそうです。
鼠は、蚕の幼虫だけではなく、卵・成虫・蛹に至るまで食べてしまうそうでして、数も多く群をなして押し寄せてきます。一夜にして何もかも根こそぎ食べられてしまうことも少なくなく、養蚕家にとっては死活問題に繋がるほどの深刻な被害を被ることもあったそうです。

そのため、当時の養蚕家は鼠からの被害を免れるために、鼠の天敵である猫を飼うのが慣わしだったそうですよ。事情により猫が飼えない場合であっても、猫を模した像やお札をお守りとして養蚕を行なっている場所に丁重に祀ったそうです。

蚕を鼠から守ってくれる猫が、そのまま自然と蚕神様のお使いであると結びついたのは想像に難くありません。

ここまで調べて、ウカ様の「最近は見なくなった」というお言葉に対して、腑に落ちるものがありました。
皆様ご存知の通り、かつての日本は養蚕技術で作られる上質な絹糸を、重要な輸出産業の一つとして位置付け、国の収入資源としていた時期がありました。
特に明治期から昭和初期にかけてのお話しとなり、以降の近代では科学技術の発達により、絹の代替品として化学繊維の普及が進むことになります。

それは、逆に養蚕業の衰退に繋がることになりました。

つまり、それは養蚕家の数も減少していくという事実に繋がり、養蚕に特化していた蚕神信仰も薄らぐことを意味するんですよね。
信仰というものは人々の信仰心(想い)によって成り立つものであり、維持するためにはその心にどうしても頼らざるを得ないというのが実情かと存じます。それ故に、世の流れに応じて、移ろいゆく不確定なものです。
分かってはいるのですが、身勝手ながらも少し切ない気持ちになってしまいました。

猫の神使さんですが、現存している像としては非常に数が少ないながらも、そのお姿を今も確認できる場所はいくつかあるそうです。
例えば、京丹後市峰山町泉にある金刀比羅神社もその一つでして、狛犬さんならぬ狛猫さんに今でもお会いする事ができるそうですよ。
お写真を拝見する限りでは、猫さん特有の愛くるしさを持ちつつも、とっても頼りになりそうな神使さんなのではないかなと思います。

もし機会がございましたら、これも何かの御縁でございます。
猫の神使さんに会いに行ってみてくださいませ(^-^)/
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